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『刑法総論 第7版』・『刑法各論講義 第7版』
前田雅英著(東京大学出版会)

~刑法~

書評

北出書評

刑法講義(総論・各論)は、法益保護と自由保障との調和を図る刑法の目的の観点から刑法の解釈・あてはめの解説がなされています。条文の文言から出発し、民法、商法と同じような流れで、刑法の解釈・あてはめを理解することができます。

著者である前田先生ご自身は、まず、客観的法益侵害(違法性)を認定した上で、次に主観の非難可能性(責任)を吟味するお立場ですが、本書は、自説のみに偏ることなく、判例の解釈・あてはめについて十分な解説をしています。

また、各論は、一つ一つの構成要件の役割分担が明快に解説されており、要件選択の判断力を養うのに有益な一冊です。

本書の読み方

(3)『刑法総論講義・刑法各論講義』の読み方

刑法も条文・判例を単に丸暗記しようとしないことが基本です。重要基本条文については、文理解釈から出発し、対立利益の衡量を得て、前田説・判例に至る流れを追うように読みます。それに、他説とその帰結、他説の問題点、前田説・判例の理由と要件あてはめの流れを追う読み方を併用させると、基礎知識の理解・定着が早まると思われます。

最初のページから読むのがつらい、という方にとっては、実行行為、因果関係、錯誤、正当防衛、共犯、財産罪、放火、賄賂等々、論文試験ないし短答試験の頻出分野のみ、まず集中的に読み込む方法もあります。