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『民事訴訟法 第7版』上田徹一郎著(法学書院)

~民事訴訟法~

書評

当然と言えば当然のことなのですが、実務での使用に耐える基本書の重要な要件として、要件・効果が一目瞭然であることが必要です。

本書は、要件・効果及びそれらの見出しが丁寧であり、ある訴訟上の効果が生じるには、どんな要件が必要であるかが、視覚的にも明瞭です。

他の類似書を圧倒する本書の長所として、 判例・通説の解釈、特にあてはめ判例が充実していることを挙げることができます。

例えば、訴訟物、主要事実、共同訴訟等のあてはめなどは、大変勉強になります。

本書の読み方

ア 民事訴訟法は、一度は手続の流れを、訴え提起から判決確定まで大掴みすることが大切です。

そして、基本書の読み方としては、一般に、以下の4つのグループに分けて読むのが効率的といえます。即ち、①申立事項から判決事項、訴訟物から既判力の客観的範囲・時的限界・信義則というグループ、②当事者から既判力の主観的範囲というグループ、③弁論主義・証明責任・主要事実から共同訴訟というグループ、④その他に分け、 判例・通説の解釈論(法文の文言、制度趣旨と対立利益の把握を含みます)をよく理解し、その解釈論がどのようにあてはめ判例(上田先生の基本書に列挙されている基本要件のあてはめに関する判例)に反映しているかを考えながら読み進めます。 特に、国家試験の受験対策としては、訴訟物と主要事実、既判力の客観的範囲の各あてはめは、徹底して本書を熟読し、その上で納得するまで参考書も併読し、さらに問題演習も豊富にこなして、自由自在に適切なあてはめができるようになるまで鍛える必要があります。

イ 民事訴訟の手続に関する各制度については、分量が多いだけに「丸暗記」では対応は難しいと思われます。

まず、①各制度の根本的な制度趣旨とその対立利益を意識し、次に、 ②各制度の根幹をなす個々の条文を把握したうえで、③根本の制度趣旨とその対立利益が、各制度の根幹をなす条文にどのように反映しているかを考え、理解・納得して、自ずと記憶に残っている、という読み方をすることが、結局は、近道のように思います。