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司法試験合格発表までの時間に、まずは再現答案を!

1 再現答案を見なければ分からないこと

何を知るために再現答案を書くのか?

司法試験論文試験は、専門的学識のみならず「論述の能力」をも判定するものである以上(司法試験法参照)、司法試験の合否は、「何を書いたか」だけではなく、「どう書いたか」によっても大きく左右されます。

確かに、条文選択の判断や争点選択の判断等、「何を書いたか」は、答案構成用紙を見ればある程度は分かるかも知れません。これに対し、基本の解釈論の理由や要件、「新司法試験特有の応用問題」の理由と要件、あてはめの内容、論理表現等々、「どう書いたか」については、薄れ行く記憶に基づき口頭で説明されても容易には推測できず、再現答案を見なければ判断し難いのです。

正確な再現答案があれば、条文選択の判断、要件全体の処理、争点選択の判断等「何を書いたか」がより具体的に分かるのはもちろん、「特に(新)司法試験特有の応用問題に対し、ケースの特殊性に即してどのように法律を解釈しあてはめて解答をしたのか、それらの論述に論理の矛盾や論理の飛躍がないか」等、「どう書いたか」についても、かなりの確度でその当否や今後の課題を判断することができます。

2 いますぐ再現答案の作成を!

時が経つほど再現答案は不正確になります

休息は、後でもゆっくりできます。しかし「特に(新)司法試験特有の応用問題に対し、ケースの特殊性に即してどのように法律を解釈しあてはめて解答をしたのか」について、詳細な記憶を維持するのは、容易ではありません。

刑事訴訟法的に言えば、複雑な事実を体験した目撃者の記憶は時の経過と伴に急速に薄れるのであって、いますぐ証拠を保全する緊急性は高いと言えます。

3 将来のため今現実を直視する勇気を!

受験生に5月に再現答案の作成をお勧めすると、今は現実を直視するのが恐くて(ミスを発見するのが恐くて)とても再現できないと言われ、9月に再現答案の作成をお勧めすると、(特に応用問題について)もう忘れてしまって何を書いたかさえ思い出せない、といわれることがあります。

しかし、合格して弁護士になれば、相手方弁護士の強烈な準備書面や、人の一生を背負った事件の判決書を日常的に直視しなければならないのであって、その時に不可欠となる「強い心臓」を鍛えるためにも、今現実を直視する勇気が必要であると考えます。

他方、もし、合格していない可能性があるならば、できるだけ早く再現答案を正確に分析して「次回一発合格するための課題」を明瞭にするのが有益です。

何れにせよ、将来のため今現実を直視する勇気を持てば、リターンは大きいと考えます。

4 5年目5回目受験の方へ

受験回数最終回の受験生に再現答案の作成をお勧めすると、通常、「もう最後の受験なので、再現答案を書く必要がありません。」、と言われます。

しかし、合格していれば、就職の際に何某かの試験があるかも知れません。他方、合格していなくとも、将来、予備試験を受験したくなるかも知れず、裁判所書記官や会社の法務部等法律を使う職業に就く際、通常は法律の試験があるはずです。

そこで、その時のために、受験回数最終回の受験生であっても、再現答案を作成し、「事案分析、条文選択、争点選択、解釈、あてはめ」、「応用問題対処能力」、「論理・表現」等、平成27年5月時点における、法曹としての実力の程度と今後の課題について、証拠を保全する必要性と緊急性は高いと考えます。

5 あと少し間頑張ったあと暫しの休息を

記憶が鮮明な今のうちならば、再現答案は、僅か10時間と少しで完成するのではないでしょうか。
何とか、あと少し頑張って再現答案をお書きになり、暫しの休息は、その後にされてください。