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平成28年司法試験合格発表・
成績表通知を受けて

実務法学研究会 司法試験担当講師 北出容一

次回平成29年司法試験一発合格を目指す方へ

1 もう二度と不合格を重ねたくないなら…

法務省の統計上、受験回数を重ねる都度、合格率が低下するということは、受験を重ねる受験生の大多数が、次の本試験までに、不合格の原因の「全て」を分析できず、又は、これら「全て」に対し、効果的な対策をたて得なかったことを意味します。ところが、司法試験の成績通知には、系統別の採点「結果」(合計得点)のみが記載され、不合格の「原因」は、一切記載されません。司法試験の成績表に一喜一憂しても、不合格の原因は、何ら明らかにならないのです。

そこで、もう不合格を重ねたくないなら、

⑴ 科目別、小問別に(刑法なら犯罪事実毎に)

⑵ 不合格の原因が、「法的判断面」にあるのか、

即ち、不合格の原因が、

①問いの分析ないし小問毎の難易の選球眼にあるのか、

②事案分析にあるのか、

③条文選択の判断にあるのか、

④要件全体の処理と争点選択の判断にあるのか、

⑤基本とケースに即して解釈論を定立できなかったことにあるのか、

⑥あてはめ、事実摘示の具体性、場合分け(事実の仮定)の判断にあるのか、

⑦ ①から⑥の複数あるいは全部の判断、にあるのか、

⑶ 不合格の原因が、答案の「論理」と「表現」にあるのか、

即ち、不合格の原因が、

①特に応用問題の「解釈論」の論理の飛躍、矛盾、意味不明にあるのか、

②「あてはめ」の論理の飛躍、矛盾、意味不明にあるのか、

③文章の国語的な分かり難さ、国語的誤りにあるのか、

⑷ まずは、真剣に、万策を尽くして分析する必要があります。

2 次回の本試験までの限られた時間で、「不合格の原因全て」を克服してください

そして、もう不合格を重ねたくないなら、来年の試験までのごく限られた時間で、不合格の原因の全てを着実に克服した上、次回本試験当日始めて見る初見の長文事例問題に対し、制限時間内に、誰にも相談をせず1人で的確な判断を下し、且つ、それを明快な論理で一義的に明確な表現で答案用紙に記載できる域に達する要があります。

実務法学研究会の一発合格ラインナップの各講座は、不合格の原因を広く克服し、合格答案を書くために不可欠な定義趣旨要件効果を実際頭に入れ、その上で、事案分析、条文選択、争点選択、解釈、あてはめ、論理表現で競り勝つことに主眼を置いた、インプットとアウトプットのための講座となっています。

平成28年司法試験の「不合格の原因の全て」を分析した上、それらを克服するためにもっとも効果的な講座を選択して下さい。

司法試験の受験回数を満了した方へ

心機一転プラス思考で捲土重来を!

司法試験の受験回数を満了した場合、予備試験に合格するか、再び法科大学院の門を叩き一からやり直せば、5年5回の受験資格を得ることができます。

予備試験合格は就職面で圧倒的に有利です。幸い、司法試験法によれば、司法試験も予備試験も、微に入り細に入り膨大な知識を問う試験ではなく、限られた基本と法文を使いこなし応用することができるかを問う試験です。「働きながら」予備試験や司法試験を受験することは、充分可能です。夜間開講の法科大学院もあります。

「働きながら得た社会人としての経験」は、試験の際の社会常識に基づく現場思考や合格後の実務に大いに寄与すると考えます。

但し、法曹を目指し働きながら捲土重来を果たすことを決めた場合には、大前提として、「受験回数を満了した原因の全て」を克服し、「働きながら着実に」、他を圧倒する実力をつけることが必要です。

実務法学研究会の各講座は、働きながら無理なく通学できるコマ数で、不合格の原因の一つ一つを着実に根気よく克服するための講座となっています。

なお、法曹実務において、依頼者・当事者にとって重要なのは、「実務に出た時点で、裁判(ないし企業法務)に必要十分な実力を現実に具備しているか、そうでないか」であって、受験期間の長短自体ではないはずです。

平成28年司法試験に合格された方へ

重要なのは資格自体や経歴ではなく実力・学力の実質!

司法試験合格、おめでとうございます。暫くは、司法試験に合格した者にしか分からない喜びに浸り、文字どおり「肩の荷が下りた」安堵の気持ちに心を休め、充分鋭気を養って頂きたいと思います。

合格された皆様は、法曹への現実的な一歩を踏み出すことになります。これまで、あくまで基本書や答案上の問題だったことが、すべて現実の当事者の現実の裁判事例の問題となります。

検察庁や裁判所合議体、法律事務所等が扱う事案は、全て現在進行中の生きた現実の案件であり、それを扱うチームに実力・学力が充分でない者が1人でも入れば、多忙で激しい攻防をしているチーム全体の足を引っ張り、一生の一大事を委ねている裁判所利用者の利益を大きく損ないます。

司法試験合格後、検事や裁判官になるにせよ、法律事務所や企業に就職するにせよ、採用担当者が厳しく吟味するのは、法律家として充分な実力・学力があるか、そうでないかです。

法律家の役割の多様化が進んでいますが、それでもなお、法律家が法と論理の世界で生きている以上、その実力として、第一に上げられるのは、実務における複雑な事案を分析し、条文と争点を選択し、争点につき的確に事実を摘示して立証するコントロールが定まっていることであると考えます。

実力不十分なまま実務の場に出ることは、依頼者の生命、身体、財産に重大な不利益を生じさせ、自分自身の将来を危うくする畏れすらあると思います。

厳しい就職で競り勝ち激しい法曹実務の場に出るに当たり重要なのは、資格を得たこと自体や出身大学院等過去の経歴ではなく、「実務に出る時点で、裁判(ないし企業法務)に必要な実力の全てを現実に具備しているか、そうでないか」であると考えます。