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『憲法 第七版』芦部信喜著,高橋和之補訂
(岩波書店)

~憲法~

書評

本書は、基本的で重要な事項について、通説判例を中心に、平明に解説がな されています。また、重要なあてはめ判例が厳選され、簡にして要を得た評釈がなされています。

本書は、「人はすべて生まれながらにして自由・平等」という考え方から出 発し、「法の支配」(憲法第3章、97条、81条)を強固なものとするため、違憲審査基準を類型化することの重要性を説き、場当たり的比較衡量論を排します。

特に、表現の自由の内容中立規制の違憲審査基準が、本書の大きなテーマの一つです。

本書の読み方

本書の各論部分に、理由付けが書かれていない場合には、憲法典の法文に当たり、文理解釈をするとともに、各論の前の総論部分に理由付けのヒントがあるので、それを確認します。

また、各単元で紹介されている諸判例を、並列的に捉え、ただ暗記するのでは、各種試験において初見の応用問題になかなか対処できません。 それらの諸判例は、まず、基本的で重要、指針となる判例を第一判例とし、それ以外のものを派生判例として区別します。

次に、第一判例を熟読してその事案・解釈論・あてはめをよく理解し、その後、派生判例を、第一判例との相違点を「考え」ながら、読みます。そのようにすると、判例に対する理解がより深まり、事案や結論の違いを意識できると思います。

さらに、統治に関しては、各制度を、個人の人権同士の衝突を調整する機構と、権力の濫用を防止する機構と分け、その上で、人権保障との関係で、「各制度がいかなる役割を果たすのか」、「統治の各機関がいかなる役割分担を果たすべきか」を考えながら読み進めます。そうすると、統治に関して早く理解ができると思われます。