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司法試験法3条に見る「短答試験の応用問題対策」
の重要性

―知識を詰め込むことに偏する短答試験対策にはリスクがありますー

1 司法試験3条が強調する「短答試験における応用能力」について

司法試験直前期、自宅や自習室にこもり、短答試験突破のために、「とにかく知識を詰め込みたい」という気持ちは分かります。

ただ、司法試験法3条1項は、「短答式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識『及び法的な推論の能力』を有するかどうかを判定することを目的」とする旨明定します。

また、司法試験法3条4項は、「司法試験(短答試験も含まれるはずです)においては、(中略)必要な学識及び『その応用能力を備えているかどうかを適確に評価する』ため、『知識を有するかどうかの判定に偏することなく』、法律に関する理論的かつ実践的な理解力、『思考力、判断力』等の判定に意を用いなければならない。」と明定しています。

2 次回の短答本試験において、
過去問と同じではない選択肢が相当程度問われることについて

司法試験法3条1項や4項が、「短答試験では応用問題を問う」、「司法試験では知識に偏することなく法的思考力を問う」旨、明言している以上、条文・判例・過去問の丸暗記では対処できない選択肢が相当程度出題されることは当然のことです。

つまり、次回の短答本試験の日に試験会場ではじめて見る短答試験問題の選択肢は、相当数、過去問の選択肢や判例と同じではないものが含まれているのです。

現に、「繰り返し解いた過去問はできるが本試験出始めて見る短答問題は解けない」という現象は、条文・判例・過去問の丸暗記では対処できない選択肢が、はじめて見る本試験問題に、相当程度出題されていることの証左であると言えます。

3 短答本試験の「憲法、刑法、民法」で注意するべき、
「微妙に変化している応用問題の選択肢」について

⑴ 基本の応用自体に気付かない可能性
司法試験の短答試験においては、まず、一見過去問と似ているように見える基本的な問題についても、基本の定義・要件・効果や基本判例について、基本を異なる表現で問う、基本を裏から問う、通説判例基礎を応用したその先の論理的帰結を問う等の方法で、直接的・間接的に、明示的又は黙示的に、応用問題を出題されていることがあります。

ただ、論文試験とは異なり、短答試験の場合、余程注意をしていないと、問題文をよく読まないと、一見基本的な問題について、「選択肢が通説判例とは微妙に変化しており、応用問題が問われていること」さえ気づかない可能性があります。

短答に弱い受験生は、実は基本が変化していることすら気付かず、実は過去問の選択肢や判例とは異なることが問われているにも気付かず、気付いても思考して良いかどう判断して良いかが分からず、応用問題について誤答を連発しがちです。

⑵ 一見派生的な事項をバランス感覚・制度趣旨の推論等で解かせる問題
過去問を見ると、一見細かい問題であっても、微に入り細に入り知識を要求している訳ではなく、利益衡量をする能力、基本判例から派生を推論させる能力を駆使して解かせる問題が相当数あります。

単に、条文・判例丸暗記吐き出し型の勉強をしていると、このような問題について、解ける派生問題と解けない派生問題を区別できず、解ける派生問題についてどのように思考し判断してよいかが分からず、誤答を連発する危険があります。

4 司法試験短答直前期・超直前における「応用問題対策」の重要性

―知識を詰め込むことに偏する直前対策はリスクがありますー

とりわけ司法試験直前期・超直前期の短答試験対策として、「知識を詰め込むことに偏することなく」、科目毎に、捨て問を選別する選球眼や、各選択肢が応用問題であることに気付くことを含め、応用問題の対処の仕方を最終チェックすることが有益なのです。

即ち、司法試験に合格するための、司法試験短答試験の短答問題対策として、

⑴ 基本問題と、時間内に解ける応用問題、時間内に解けない応用問題を区別する選球眼を鍛えた上、

⑵ 時間内に解ける応用問題について、単純知識問題、事例型知識問題、判例問題、論理問題等、問題類型別に、「基本知識と利益衡量・基本の推論(基本プラス論理的思考力)を併用して解く」等の、解法の鉄則を身に付ける必要があります。

5 いまからでも間に合う短答試験応用問題対策について

―「応用問題と基本問題双方」について 解法の鉄則を鍛える―

実務法学研究会の「短答試験解法の鉄則講座」は、

 時間内に解ける基本問題、時間内に解けない基本問題、時間内に解ける応用問題、時間内に解けない応用問題を選別する選球眼を鍛えた上、

 時間内に解ける基本問題と応用問題について、単純知識問題、事例型知識問題、判例問題、論理問題等、問題類型別に、基本知識と利益衡量・基本の推論(基本プラス論理的思考力)で解くなどの、解法の鉄則を伝授しています。

司法試験法が応用問題を重視している以上、たとえ司法試験短答試験直前期・超直前期であっても、全く応用問題対策をすることなく短答本試験を受験するよりは、「残された時間が許す範囲で」応用問題対策をした方が、短答試験の合格確率・短答の得点力を高めると考えます。