【短答】本試験で伸び悩む方へ
〔回答〕 実務法学研究会講師 北出容一
短答で過去問は解けるけど、本試験では点数が取れません。
どうすればよいですか?
短答過去問は解けるが短答本試験で伸び悩む原因
短答過去問を2回、3回と繰り返した場合、解説と共に答えを覚えてしまいます。
そうだとすると、2回目、3回目以降の短答過去問演習は、短答問題を「考えて解いている」のではなく、「単に覚えた短答の答えを思い出す」作業をしているに過ぎません。
これに対し、本試験当日はじめて見る短答本試験の問題は、当然、「答えを覚えていない」のです。
「単に覚えた択一過去問の答えを思い出す」作業を繰り返していた受験生は、緊張の頂点の本試験当日、はじめて見る短答本試験の問題に対し、「短答問題を正しく読み」、「的確に考えて答えを出す」ことができないのです。
繰り返し解いた過去問に捨て問はなくとも、短答本試験には「捨て問」があります。
難問を見極める選球眼を鍛えるだけでも、相当程度得点は異なります。
短答過去問では、捨て問はありません。
しかし、短答本試験では、「理解し記憶している基礎と法的思考力のみ」で、「制限時間内」に、「当日初めて見る初見の」、司法試験短答本試験問題を解く」以上、制限時間内に確実に解けない問題は、当然出てきます。
法務省発表の資料によれば、短答「超」上位合格者であっても、相当数短答試験の問題を間違えています。上位合格者でも間違えるような問題を、短答試験が不得手な受験生が手を付けることは全く無益なことです。
短答試験で伸び悩む方は、「制限時間内に確実に正解に達するのが困難な問題」を見極める選球眼を鍛え、間違える問題に時間を浪費しないことが不可欠です。
短答試験で間違える原因は本当に条文判例の知識不足だけか?
短答試験が苦手な受験生は、短答試験の得点が伸び悩む原因を、「専ら条文・判例・過去問の知識不足」にあると思い込んでいることが多いように思われます。しかし、短答試験で上位数パーセントに入る受験生もそれ程多くの知識を持っている訳ではありません。基礎は不可欠ですが、知識を詰め込むことが短答試験対策のすべてではありません。
基礎を固め、選球眼を鍛え、知識とバランス・論理を併用すれば点は上がります。
短答試験が得意な受験生は、論文試験によく出る「定義・趣旨・要件・効果」と「要件のあてはめに必要な知識」、「短答試験のみによく出る基本」を明瞭に固め、後は、できない問題を捨て、できる問題をよく読み、制度趣旨と対立利益から初見の選択肢の正誤をよく考えて推論しているに過ぎません。短答試験の得点が伸び悩む場合、このような短答試験対策が、闇雲に過去問と条文を際限なく繰り返すよりも、却って近道なのです。
過去問を繰り返した回数で自己満足するのではなく、
「初見の短答本試験問題で競り勝つこと」に徹して短答試験対策をしてください。
次回の短答本試験も、相当数、それ以前の過去問とは同じではない選択肢を含みます。
そうである以上、「短答本試験当日はじめて見る短答試験問題で高い正答率を叩き出すこと」に徹して対策を立てる必要があるのです。
本試験当日「初見の短答問題」で競り勝つための短答対策
(1)「初見の問題」について瞬時に難易を判断する選球眼を鍛えること
(2)「論文試験によく出る基本と短答試験によく出る基本」にインプットを集中させること
但し、厳選した知識を、応用可能なように体系的に、100%的確に瞬時に速答できる域に達するまで固くインプットします。
(3)判例知識、事例問題、論理問題毎に、「短答解法の鉄則」を身に付けること
(4)「過去問を思い出して繰り返す作業」を止め、上記(1)(2)(3)に記載した知識と能力を使いこなして、「短答問題を正しく読み」、「的確に考え て答えを出す」という正しい過去問演習をすること
実務法学研究会の司法試験「短答解法の鉄則講座」
実務法学研究会の「短答の解法の鉄則講座」では、
一貫して「基礎知識と法的思考力の双方」を問う短答本試験の傾向(司法試験法1条3条参照)に鑑み、
応用能力・法的推論能力を含む「短答試験の解法の鉄則」を身に付けます。
新司法試験短答過去問、旧司法試験短答過去問題を例題に、短答試験合格に有益な「短答試験解法の鉄則」を集中強化します。 但し、短答試験のインプット面は「即戦力基礎講座」、「合格する基本書読解講座」等で別途強化してください。
(講義内容の一部)
1「選球眼の鉄則」
⑴ 捨て問選択の判断の鉄則
⑵「問題を解く順序と時間配分の鉄則」
2「問題類型別短答試験解法の鉄則」
⑴ 基礎知識問題の解法の鉄則、
⑵ 応用知識問題の解法の鉄則、
⑶ 事例型問題の解法の鉄則、
⑷ 論理問題の解法の鉄則、
⑸ 穴埋め問題の解法の鉄則、
⑹ 判例素材型問題の解法の鉄則(憲法、刑法)