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【刑法】承継的共同正犯のあてはめ

〔回答〕 実務法学研究会講師 北出容一

承継的共同正犯のあてはめの注意点を教えてください。

承継的共犯の事例か否かを見極める争点選択の判断

答案練習等で承継的共犯を出題した場合、相当数の受験生は、承継的共犯が問われていること自体に気付きません。そこで、共犯事例では、承継共犯のケースか否かを見極める「事案分析の着眼点」を明瞭にしておく必要があります。

承継的共同正犯のあてはめの注意点

1 まず承継的共同正犯の問題になること自体のあてはめ

このあてはめを的確に書ける受験生は、一般に少数です。

①先行者の実行の着手時期「等」のあてはめ、

②先行者の実行行為の終了時期のあてはめ、

③先行者と後行者の共謀(意思とその連絡・時期)のあてはめ、

②及び③のあてはめがポイントであり、その詳細は、論文合格講座のあてはめ対策の講義等で説明をしています。

2 承継的共同正犯論の自体のあてはめ

①後行者が先行者の行為の結果現在生じている状況(積極的に)利用し、

②後行者が利用時にそのように(積極的に)利用する意思を有していたこと、

をあてはめます。

このフレーズは有名ですが、よく考えると、「利用」「積極的」の意味内容がやや不明瞭であり、これをあてはめるに当たり、いかなる意味で「利用」「積極的」を用いているのかについて、充分留意する必要があります。

ここでは、後行者が利用できない「既に生じた結果」を除外し、「積極的とは言えない場合」を除外する、という二つの作業が必要なことに注意します。

その詳細は、論文合格講座のあてはめ対策の講義で解説をしています。

3 その他の構成要件のあてはめ

例えば、恐喝の承継的共同正犯の場合、上記以外にもあてはめるべき構成要件が多々あります。これらにも別途争点性が生じていないかを注意します。

4 後行者関与までに既に発生した結果について

後行者関与までに既に生じていた結果について、207条「等」によって、後行者に帰責することができないかを警戒します。

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