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『株式会社法 第8版』江頭憲治郎著(有斐閣)

~会社法~

書評

本書は、合計すると、900ページ以上と厚さはありますが平明な日本語で、簡潔明瞭に、各単元の解説がなされています。

通説判例が簡潔な理由とともに正確に解説され、趣旨・要件・効果の見出し、 記述が明確です。特に、重要基本部分のあてはめ判例 は、充実しています。

本書の読み方

ア 重要基本部分について

重要基本部分については、趣旨(対立利益は自分で補って考えます)、要件、効果、解釈部分の言葉、あてはめの注意点等、一つ一つの言葉の国語的意味・法的意味によく注意をして、読み進めます。

特に、ごく簡潔に要約され、評釈がなされたあてはめ判例(例えば平成22年に出題された「見せ金による募集株式の発行は募集株式発行無効原因とはならない。」とする判例)については、これを知識として断片的に暗記しようとするのではなく、何故、そのようなあてはめ判例が出るに至ったのか、教科書本文に記載されている趣旨(対立利益)、要件に照らし、考えることが有益です。

イ 派生部分について派生部分の条文知識について

制度・条文を断片的に暗記するのではなく、まず、大きな視点(制度趣旨と対立利益、その制度の根幹となる条文)を考え、そこから各条文が枝葉となって派生する仕組みを納得しつつ読み進めることが有益です。

なお、類似する複数の制度については、共通点と相違点を明瞭にし、その理由を考えるような読み方をすることが必要です。